催眠療法士もどきのところへ出かける
私が
「袋がたくさん飛んできましたストーカーのせいかもしれません」
と話すと、療法士もどきは
「それはあなた自身に責任があります、あなたは受け入れなくてはなりません」
と、私を突き放してきた。私が
「大変恐ろしいのですなんとかならないでしょうか」
と泣きつくと、療法士もどきは
「あなたは受け入れなくてはならないのです」
と再び同じことを言って突き放した
「それはあなた自身に問題があるのですよ」
暗い部屋なのでよくは分からないが、大変冷たい目で見下されていたように思う。私自身助けを求める相手を間違えた部分は大いにある。だがその時は頼れるものであれば誰でも頼りたい気分だったのである。
療法士もどきは
「これで落ち着いてください」
と何か黒い飲み物を出した。私はそれを確かに飲んだが、あまりに追い詰められていたために今となってはそれがコーヒーだったのか紅茶であったのかすら思い出せない

昨夜は私の部屋が無数のゴミ袋の群れに囲まれた
今夜もまた囲まれている
鳴いている鳴いている
どうすることもできない
私を食い殺すつもりであろうか
あのオレンジ鞄の女がよこしたのだろうか
どうすることもできない
布団にもぐりこんで震えているしかない

今日久しぶりにしょうさんと会ってきた
しょうさんは「最近どうですか?」
と聞くので、記憶の復元作業はなかなかいい感じで進んでいるとこたえると
「よかったですねがんばってくださいねがんばって」
と我がことのように喜んでいた
その笑顔を見て私は、この人は恐らく報われない人間なのではないかと感じた。
どこまでも善人であり、あまりに善人過ぎるため、そのような者達を糧として生きる俗物たちにこれまで散々食い千切られ、不幸な人生を歩んで来たに違いない。
勝手な憶測であるが、十中八九そうなのだろうと思った。
そのような人を、前にもどこかで見た覚えがある